髙田織物が考える、これからのものづくり

Sustainable Development Goals

「畳縁」とは畳の長手方向に縫い付けられた布のこと。畳表の角の摩耗を防ぎ、畳と畳を敷き合わせた際の隙間を”占める”機能があります。畳の歴史は長いですが、その姿形は今日に至るまでほとんど変わっていません。縁付き畳がいかにサスティナブルなプロダクツであるか、また、畳文化を守るために持続的に畳縁を供給していくうえで、髙田織物がどのような視点でものづくりをしているかをご紹介します。

1. 縁付き畳は資源を活かす。

日本は資源が乏しい国ですので、伝統的な建物には自然素材を取り入れた建材が多く用いられています。畳もしかりで、長く伸びたイ草を織って畳表とし、藁を固めて畳床にし、それらを畳縁で覆って縫い合わせています。さらに、高温多湿の気候であっても快適に過ごしていけるようにと、先人の知恵が今に受け継がれています。そんな畳を定義する上で大切なことは、部材を「縫い合わせる」ということです。そこには、今の時代にも通ずる、日本が世界に誇るべき美徳が凝縮されています。

傷んだ畳を綺麗にする方法は大きく3つあります。部材を全て新しくする「新調」。畳表だけを交換する「表替え」。両面つかえる畳表の裏側を使う「裏返し」です。本来、畳は「畳床」に「畳表」をのせて、縁にはそれらを留めるために「畳縁」をあて、糸で縫い合わせて一つにします。そのため縫い糸を切ると全ての部材がバラバラになり、畳床も補修して再利用でるようであれば活用し、畳表も痛みが少ない裏側を使うことができるのです。

新築の家でしばしば目にする「縁なし畳」は一見スッキリ見えますが、残念ながら製作の都合上、畳表の裏返しができず、片面が痛んだら廃棄するしかありません。また、縫わない畳(畳表と畳床を接着した薄い縁なし畳)であれば、短命である上に、こちらもすべて廃棄するしかありません。事実、畳屋さんは縁なし畳こそ作りますが、お勧めするのは普通の畳だったりします。資源を活かす日本の美意識も含めて世界へと広がりを見せていくことは、地球上にある限られた資源を有効に使うということ。その視点からみれば、縁付き畳はサスティナブルなプロダクツであると言えます。

2. 畳縁をハンドメイドの素材として活かす。

髙田織物では、長さが短い畳縁や余った畳縁を廃棄するのではなく、ハンドメイドの素材として活用できる取り組みを広げてきました。軽くて丈夫、そして種類も豊富にある織物であることを伝えていくことは、畳縁の多様性と可能性を広げ、素材を有意義に使っていただくための大切な取り組みであると考えています。ただ作るではなく、短くても意味のある織物へと昇華することで、趣味の時間をも豊かにすることができます。それは畳にして住空間を彩ることと同じく、髙田織物が畳縁をお届けしていく上で大切にしている考えです。畳縁の愛好家は国内外に広がりを見せ、日本固有の織物として注目されています。限られた資源を使って生まれた価値を余すことなくお届けしています。

3. 何を作るかよりもどう作るか。

髙田織物は創業来約130年の歴史を持ち、全国の畳縁の約4割をお届けしているメーカーです。従業員数30数名の内、約8割が女性です。織物の会社ですので、細い糸を扱う繊細さや、色むら、織りキズを検品する力が長けていることから多くの女性が活躍しています。独自の有休制度や人事、またNO残業を基本とすることで、家族と過ごす時間も大切にしています。各々のライフステージが変わる中でも、そうした環境の中から生まれる商品こそが真に持続性をもち、お客様に提供する価値を持ったものづくりであると考えています。

4. 地域と共に住み続けられるまちであるために。

企業が地域と共にあるためには、その地域が元気であることが大切です。自分の家族、同僚の家族、また仕入先様やお客様も住んでいるまちですので、そのまちに元気がなければ人は離れ、持続的にものづくりをすることはできません。髙田織物では、工場見学や職場体験学習、観光客の受け入れだけではなく、地域のイベントや社会活動にも積極的に参画しています。地域からも認められ、次の時代に産業をつなげていくためにも、住み続けられるまちづくりに貢献します。

SDGsとは?

持続可能な社会を実現するために、2015年9月に国連総会で採択された世界共通の目標。「貧困をなくす」「ジェンダー平等」「海のゆたかさを守ろう」など17のゴール(目標)と、目標ごとの169のターゲット(達成基準)から構成されている。国内でも政府や企業、教育機関などが積極的に導入。岡山大学では研究や教育、社会貢献活動の中心にSDGsを置き、専用ホームページも公開している。